一人静かに内省す

日本男子を中心に体操競技応援中!体操競技について思いのまま綴っています

全日本団体選手権のオーダー予想

来たる11/26に年内最後の国内大会である全日本団体選手権が開催される。団体戦はインカレやシニア、国体など国内でも様々な大会で行われているが、いずれも出場者全員が6種目実施し上位4〜5名の得点を合計する形式となっているのに対し、全日本団体は6人出場しその内3名が演技してその得点が全て合計点に反映されるいわゆる6-3-3制を導入している唯一の大会である。オリンピックや世界選手権の団体戦と同形式(オリンピックと世界選手権では5-3-3)の唯一の試合ということで選手の経験値を積むのにも絶好の機会といえる。

そして私はこれといった推しチームがいない。というかそもそも体操競技個人戦なのでどうしても個人にフォーカスしがちなのだが、6-3-3の試合形式の団体戦については大好物。あと全日本と名のつく国内大会は何かしらの選考会を兼ねていることが多いが、全日本団体はそういったものがなくシンプルに所属先同士の争いになるのでわりと精神的にラクな気持ちで観戦に臨めるという良さもある。

今年の出場チームはこちら。僅差で徳洲会体操クラブが1位通過となっているが、諸事情により全日本シニアとNHK杯の得点が混在している。これは2位のセントラルスポーツも同様で、そもそも大学チームは当然インカレの得点となっており複数の試合の得点が入り混じっているので得点自体は参考程度で、あくまで決勝のローテーションのための序列と捉えている。とはいえ所属している選手の実力的にも徳洲会体操クラブとセントラルスポーツが少し抜けており、次に順天堂大学日本体育大学が続くか、といったところかと思われる。というわけで個人的に団体戦の密かな楽しみ、オーダーの事前予想をする。(知識上徳洲会とセントラルのみ、敬称略)

 

徳洲会体操クラブ

昨年の覇者で今年も優勝候補筆頭のチーム。特長は豊富な選手陣。全日本種目別選手権を制したメンバーが複数いるので、6-3-3の団体戦を戦う上で最も戦いやすいチーム編成となっている。公式サイトに記載の選手のうち、術後間もない米倉を除いて11人の中から6人を選べる贅沢さを持つ。ちなみに前年の団体メンバーの一人であり世界選手権でも過去に金メダルを複数獲得しているカルロス・ユーロは、夏頃から拠点を母国に移しており現在徳洲会からは離れている。

まず難しいのが6人のメンバー予想。非常に悩ましいがまずキャプテン杉野と春木を軸にしていく。杉野はやはりキャプテンという立場、そしてあん馬と鉄棒で15点出せることと跳馬で5.6を跳べることを踏まえて絶対に選びたい。そしてつり輪と跳馬が強い春木については、団体戦では欠かせない安定感があることと、団体戦を戦う上でとても良い雰囲気を放つ選手ということを全日本シニアのYouTube動画を拝見して感じたので同じく絶対に選びたい。

残り4人。個人総合が強い選手を選びたいので、全日本シニアと国体で安定感があった松見とアジア大会の個人総合で銀メダルを獲得した北園はやはり外せない。先ほどの2選手の苦手種目をフォローしつつ全体の得点を底上げする力が2人にはある。

残り2人。この4人だとつり輪と平行棒が穴になってしまうので、昨年の大怪我のリハビリでつり輪を強化し、且つ平行棒が強い岡を選出。正直この5人で団体戦を戦えるが全日本団体はさらに1人出場できるのが嬉しい。スペシャリストを選出したいのでつり輪が強い髙橋をチョイス。鉄棒が強い川上と悩んだが、つり輪は失敗のリスクが小さいので髙橋にした(シンプルに髙橋くんの演技が見たいという私欲もあるが)。

というわけで杉野、春木、松見、北園、岡、髙橋の布陣と予想。次に各種目のオーダー。

ゆか▷杉野、松見、岡

ゆかはそこまで大きな実力差はないが、ここ最近好調な杉野と全日本種目別選手権で3位になった岡を選出。ポイントは松見がどこまでEスコアを伸ばせるか。

あん馬▷松見、北園、杉野

昨年と同じメンバー。6-3-3の団体戦あん馬で杉野がどの演技構成で臨むか。

つり輪▷岡、春木、髙橋

松見も強いが出場種目のバランスを考慮して岡。春木、髙橋で点を積みたいところ。

跳馬▷北園、杉野、春木

注目は北園。東京五輪以降、跳馬で中々点が出ていなかったがアジア大会ではEスコア9点台が出ていたので期待したい。

平行棒▷松見、北園、岡

全日本種目別で決勝に残ったメンバー。特に北園と岡は15点を出せるのでこちらも期待。

鉄棒▷松見、北園、杉野

あん馬と同じく昨年と同じメンバー。ラストはおそらくキャプテン杉野。演技構成は点差で変えてくるだろうが、個人的には団体戦でフル構成を決める杉野が見たい。

というわけで全種目穴がなく、やはりカロイがいなくてもめちゃくちゃ強い。杉野松見北園4種目、岡3種目、春木2種目、髙橋1種目で、全員4種目以下になり各選手に負担が少ないのでDスコアを上げやすいのもかなり有利。昨年の大怪我から復帰した岡が6-3-3で見られると思うと感慨深い。選出しなかった5人もかなり強くて、この5人でチームを組んで戦っても表彰台に登れそう。

 

セントラルスポーツ

優勝候補である徳洲会の一番の対抗チーム。所属選手は6人で団体戦においては常にギリギリを生きるセントラルだが、6人の内5人が世界選手権代表経験者で6-3-3を戦う経験値は圧倒的に高いのが最大の持ち味。

とても強い選手が揃っているが得意種目に偏りがあり昨年まで跳馬と鉄棒がどうしても穴になってしまっていたが、その両方を得意とする三輪哲平が今年入社。ところが三輪は9月に怪我をしており世界選手権を欠場。9/29時点で試合に出られないレベルの肩の怪我ということで、正直どの程度の怪我なのかは全くわからない。来年を見据えて出場を控えるということも十分ありえるが、個人的希望をこめて出場すると予想。

ゆか▷谷川翔、三輪、谷川航

実力差があまりなく誰でもいいような気がするので、他の種目のバランスを考えてこの3人を選出。Dスコアは特別高いわけではないのでEスコアで8点半ばを目指したいところ。

あん馬▷萱、千葉、谷川翔

あん馬が得意な3人。谷川翔がここで高得点を取れると大きい。

つり輪▷谷川航、北村、千葉

注目は千葉。世界選手権ではなぜか点が伸びず、それ以来の国内大会となるがどういった評価になるか。

跳馬▷萱、谷川航、三輪

萱がどこまでEを残せるかがカギ。谷川航と三輪が6.0を跳べばかなり優位に立てると思うが多分二人とも5.6だと思う。

平行棒▷千葉、谷川翔、谷川航

安定感のある3人を選出。

鉄棒▷千葉、谷川翔、萱

谷川翔がかなりDスコアを上げているので大きな得点源になると思う。ラストはもちろんキャプテン萱。

千葉航翔4種目、萱3種目、三輪2種目、北村1種目という布陣。萱は先日スイスの試合に出場したばかりなので少し負担を少なめに、三輪は肩の怪我ということで負担が大きそうな平行棒と鉄棒は得意種目だけどエントリーしないと予想。鉄棒は徳洲会ほど点が伸ばせないと思うので5種目目の平行棒時点でどこまでリードできるか。いずれにせよ三輪が加入したことで前年より徳洲会との差は縮まったと思うので、かなりいい勝負になるのは間違いないと思う。もちろん三輪の状態にもよると思うが谷川翔あん馬、千葉のつり輪、谷川航の跳馬でどこまで点を伸ばせるかが重要になりそう。世界選手権・アジア大会で得たものは大きいと思うので存分に活かしてほしい。

ちなみに三輪が出場しない場合はゆか跳馬はどちらも千葉、平行棒は千葉から萱に変更になると予想。

 

この2チームに次ぐと思われるのが順天堂大学日本体育大学順天堂大学は日本が誇るスーパーエース橋本大輝が在籍しているが、他の選手の実力を考えると優勝は難しいと予想。ただ最終学年で迎える最後の団体戦、他の学年の選手はキャプテン橋本に有終の美を飾ってほしいという思いが強いのではと思うので、その勢いを持って試合に臨んでほしい。昨年の世界選手権代表の土井陵輔が在籍する日本体育大学も同じことがいえる(土井はキャプテンではないが)。同じく4年生の近藤も強いのでこの2人がどこまで引っ張れるか。同じローテーションで回るので、学生らしい元気さを携えてお互いが相乗効果で盛り上がれば勢いで得点を重ねるということも十分ありえるので、期待したい。

 

表彰台は順天堂大学日本体育大学以外だと昨年3位の鹿屋体育大学、世界選手権代表の杉本が在籍する地元相好体操クラブが有力か。6-3-3の団体戦は一つのミスで局面が大きく変わる緊張感のある試合なので、6種目すべて終わるまで何が起こるかはわからない。選手にとってはプレッシャーがかかり大変かと思うが、こちらとしてはヒリヒリした見応えのある試合を観戦するのはワクワクでしかない。パリ五輪前最後の団体戦。さて、どうなるか…楽しみ!!