一人静かに内省す

日本男子を中心に体操競技応援中!男子体操競技について思いのまま綴っています

全日本団体選手権2025のオーダー予想

年に一度のお楽しみ、全日本団体選手権のオーダー予想の時期がやってきた。

 

体操競技の団体チームの日本一を決める全日本体操団体選手権が、11月14日から15日に行われる。
この大会の一番の特徴は、オリンピックや世界選手権とほぼ同じく6-3-3制(出場選手6人のうち3人が演技して3人の得点すべてが採用される方式)で行われることだ。失敗が許されない緊張感ある試合は、とても見応えがある。

今年の全日本体操団体選手権出場チームはこちら。今年は例年と異なり2日間に分けて、16チームで争う。

 

毎年、徳洲会体操クラブとセントラルスポーツの2チームの団体戦メンバーとオーダー予想を行なっていたが、今年はそれに加えて順天堂大学も行う。

順天堂大学は春に活きのいい1年生が入学し、在学生もこれまで以上に力をつけて好成績を出して面白いチームになっているので、今年は3チームのオーダーを予想する。(選手の敬称略)

 

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2025世界選手権の所感

インドネシアジャカルタで行われた体操競技の世界選手権が、10/25に幕を閉じた。

昨年はオリンピックが開催されたので、世界選手権は2年振りの開催。
今年も選手たちが素晴らしい演技をたくさん披露してくれたおかげで、とても盛り上がったように思う。

今回も大会を通じて感じたことを述べていく。

 

 

 

橋本大輝選手 史上二人目の個人総合三連覇

2022、2023年の個人総合覇者として挑んだ今大会。
ディフェンディングチャンピオンとはいえ昨年のパリオリンピックでは表彰台を逃してしまったので、どちらかといえば挑戦者という心持ちで今大会に臨んでいたと思われる。

予選はミスがありながらも1位で通過。

予選で失敗のあったゆかは、失敗箇所を見事修正し、難度を上げた構成を実施。
あん馬は危ないところがあったものの、脅威の修正力で危うく見せない技術はさすが。

5種目終了時点で2位とは約0.3の差で暫定首位。

橋本選手の最大のライバルである張選手(CHN)が、先に演技をして少しミスを見せたので、本人的には少し余裕が持てたところもあっただろう。
ところが苦手なアドラー1回ひねり、予選でミスが出たアドラーハーフ〜コールマンの組み合わせ、少し不安の残るリューキン、その全てを実施し、終末技の着地をピタリと止めて、圧巻の演技を披露。
そしてそのまま首位をキープし、個人総合三連覇を成し遂げた。

中盤の伸身トカチェフは抜いたものの、一切守る姿勢を見せず、攻め一辺倒で勝利する姿は圧倒的だった。

個人的に最も印象に残ったのは平行棒。
倒立に収める際にブレがなく、芯の通った強い倒立の止め方が目に付いた。調子の良さが存分に伝わる捌きで、疲れが見えてくる5種目目とは思えない動きは、勝利を確信させ、橋本大輝の勝負強さを改めて感じることができた。

今回も「内村航平以来」という枕詞がついて報道されていたが、当の本人はあまり気にしていない様子で、インタビューもカラッとした表情で清々しく答えていた。
一度負けて底知れぬ悔しさを知った橋本選手はまた一段と強くなったようで、日本のエースとして大変頼もしく感じられた。

 

一方、パリオリンピック覇者で初出場の岡慎之助選手は、対照的に苦しい時間を過ごすこととなった。

予選は複数のミスがあって、まさかの12位。

決勝は4種目目まで本人の強さを存分に出せていたが、予選で大きく失敗したゆかを修正しきれず、大過失を出したのが決定打となり、5位という結果で終わった。

1ヶ月前の国内試合で腰を痛める怪我を負い、予選のアップ中にもまた痛めてしまったようで、身体の痛みに苦しめられた。

会場で結果が表示された後や、インタビューでの悔しさが隠しきれない表情が特に印象に残った。
パリオリンピックでのニコニコ慎ちゃんとはうってかわって、現状を真正面から受け止める力強い姿は、まるで別人なのではないかと感じるほどだった。

初めての世界選手権は少しほろ苦い結果になったが、ここからさらに強くなる岡慎之助を楽しみにしている。

 

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2025年世界選手権@ジャカルタ

6月の段階で早々に梅雨が明け、9月に入っても連日猛暑日が続き、日本が第3新東京市になる未来も遠くないのではと思っていた。
ところが、9月下旬頃から涼しく感じられる気温に落ち着き、世界選手権の開催時期である秋らしさをようやく体感できるようになった。

 

今年は10/19~10/25にインドネシアジャカルタで開催される。

体操競技は、オリンピック開催年の翌年に毎回ルールが改正されるので、今大会は新ルール初の世界選手権というのが大きな特徴だ。
ロスオリンピックに向けた新しいルールではあるが、今大会でロスオリンピックの出場が決まるわけではない。

当ブログでも散々話しているが、今回の世界選手権は団体戦がなく、個人戦のみの大会だ。
オリンピックの出場権がかかる場合であれば、まず大陸選手権で世界選手権の出場枠を獲得する必要があるが、今回はそれがないので、多くの国と地域に出場枠が付与されている。

 

男子日本代表は個人総合枠が2名、種目別枠が4名の計6名。
では、代表に選ばれた選手の紹介と、各種目の予想を行う。(敬称略、年齢は開催初日の10/19時点)

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初めての国スポ

 

本格的に体操観戦を始めて3年半、初めて国民スポーツ大会(旧国民体育大会)を観戦した。

体操の主要大会はほとんど関東地方で開催されており、私の場合は基本的に遠征になる。湯水のように時間とお金があるわけではないので、毎年優先順位を決めて観戦する試合を決めている。
国スポはこれまで行く機会はあったものの、平日に開催されたり、遠方の九州で開催されたり、現地観戦のハードルが高かった。どうしても優先度が低くなってしまい、なかなか観戦の機会に恵まれなかった。

そんな中、今年の国スポは滋賀県で開催された。
在来線だけで且つ日帰りで行けるということもあり、ようやく観戦することができた。

 

結論からいえば、とても盛り上がった大会で楽しく試合観戦でき、心に残る思い出になった。
主要大会とは趣の違う大会ということで、いろいろ感じることも多かったので、観戦記を残すことにした。

 

 

当日観戦レポート

成年の部決勝の9/14当日。

今まで体操観戦をしてきた中で、一番の絶不調状態で目が覚める。
前日から持病が悪化し始めていて、当日さらに悪化していた。しかし、体操観戦というアドレナリンで体調不良は次第に誤魔化され、普段通り準備できるレベルを保てた。
今回は日帰りだったのでなんとかなったが、泊まりだったらおそらく耐えられなかったと思う。

ある程度気合を入れて準備したのもあり、当初の予定より1本早い電車に乗ることになった。
開場時間ちょうどくらいに着くスケジュールになり、少し早すぎたが早いに越したことはないと思い、比較的余裕を持って会場までのバスに乗り込んだ。
休日8時台の時間帯にもかかわらずバスは満員だった。会場の目の前までバスは進み、入口付近を一瞥すると、まさかの行列。3~40人ほどは並んでいただろうか。

私は舐めていた。パリオリンピックから1年も経ち、体操は関心を持たれていないだろうと高をくくっていた。

会場に着いてまもなく開場したので、急いで席を決めた。
前方の席はそこそこ埋まっていたものの、6種目見渡せるポジションに座ることができてホッとした。

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千葉健太選手の演技

9/14に行われた国民スポーツ大会(以下国スポ)をもって、千葉健太選手が現役を引退しました。

国スポの前週に行われた全日本シニア選手権と併せて、2週連続の引退ツアーと銘打って、6月頃に本人のSNSアカウントにて現役引退の発表がありました。

 

あくまで私がこれまで見聞きした中で、という前提ではありますが、体操選手の引退は「先日の〇〇(大会名)をもって引退しました」と発表される、いわゆる後出し引退が大半を占める印象があります。
稀に引退試合を予告するケースもありますが、6種目行うケースはさらに珍しいので、今回の千葉選手はかなりレアケースの引退報告だったように思います。

事前に予告がある場合は、最後の試合ということでファンとしては心構えをして観戦に臨むことができるので、個人的には選手本人の誠意を強く感じました。

 

 

最後の試合となった今回の国スポ、私は現地に赴きました。

現役最後の試合ということなので、今回の演技構成を踏まえてひとつずつ振り返りたいと思います。

各種目、リンク先のアーカイブ映像を見ながら当記事を見ていただければ幸いです。

 

 

千葉選手は出身である大阪府として当大会に出場しました。例年大阪府は清風高校出身者によって編成されますが、今回も例外なく全員清風高校出身者のメンバーとなりました。

国スポの班編成は抽選なのですが、大阪府はゆかから始まる正ローテーションに割り当てられました。

 

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